ゴムボートバッシング
〜 スローバッシングのススメ 〜

ガロさんの快適改造テクニック

今回ご紹介するガロさんの改造ゴムボート、「ガロ号」は、「安さ、軽さのみを追求しました。」 という、ご本人のお言葉通り、正に究極ともいえる、超軽量1人乗りフットコンゴムボート。 随所に施された改造は、潔いまでに一切の無駄を排し、徹底的に己のコンセプトを貫いたものとなっています。 「お気軽・お手軽」というのはゴムボートの本質であり、また最近のフルリグゴムボートとは一線を画するものですが、この原点に立ち返るような改造を、ガロさんは如何に実現されたのでしょう? 以下、いつものように頂いた画像をもとに解説を加えてゆきます。




これがガロ号の全体図。ベースとなるボートはポパイのBEE-ZEROらしく、これをベースに、1人乗り設定でフットコン化された様子。 具体的な改造部位としては、エレキマウント、ラダー、底板、シート等が挙げられるだろうか。他にも細かな実用的工夫をなされているようなので、気づいた範囲でご説明してゆこう。





先ずは如何にも特徴的な、エレキマウント部。 見たところ、主に2つのパーツからなっているようだが、これまで無かったような形状をしている。 どう見ても市販のマウントにはありえない形なので、きっと一から自作されたのだろう。 固定方法としては前部を備え付けの差込口にイン、後部は竿掛モールドになんらかの形で固定。という形だろうか? 何れにしてもガロさんの軽量化に対する拘りが、強く感じられる部分である。 後付けっぽい三角のパーツ(矢印)も気になる部分だ。 タックルケース等を乗せる、ミニテーブルにでもなるのだろうか? もしかしたら自由にスライドさせ、釣行に応じ変形するのかもしれない。 バウデッキは左右対称の台形であるべき、という固定概念に全くとらわれていないところが凄い。



    


次にラダーだが、こちらもフル自作、或いは部分的に市販品を流用されたのだと思われる。 これまた超・超・超軽量なラダーだ。 構造的には、黒い丸ノブ部分が90度に折れ曲がり、チルドアップ、チルドダウンする仕組みのようだが、BEE付属のマウント差込口を上手く利用されているので、マウント+ラダーの総重量も恐ろしく軽く仕上がっていそうだ。 前述のエレキマウントも含め、前後のマウント+ラダーが、トートバック一つに収まるのではないだろうか? 経験者の方は激しく同意していただけると思うが、1人釣行、水際までの距離が遠い場合、そのメリットは計り知れない。 マイナーチェンジを重ね、3代目にしてやっと完成したラダーというが、ここへきて軽量化も極まれり、という感じか。



あとは送っていただいた写真をみて気づいた、ちょっとしたひと工夫をご紹介。 左はもはやゴンボ的お約束事項となっている、舷側へのスケール記載。 以前にもコメントしたと思うが、激しく暴れまわるバスを狭い船内で計測するのは非常に難しく、またその際、底板がヌルヌルのクサクサになってしまいがち。 そんな時、これがあれば、万事解決。 汚れても水でサッとひと流しすれば済む。 お金もかからず実用的なアイディアなので、是非真似ていただきたい。 それから底板の上に見えるグレーの部分は、ガロさんがご友人から譲り受けたという、ボディーボート。 私はそれがどんな物なのか知らないが、ガロさんによれば、これがなかなかの安定感で、スタンディングにも何の問題も無いらしい。 面積的にも1人乗船にピッタリだし、厚さもあるので視座を高くとる事にも一役買っていそうだ。



ガロさんの場合、ロッド収納の仕方もいかにも実用的だ。 写真からも分かるように、脚立の脚部分(ちゃんと銀マットで保護してある)にグリップ部を乗せ、穂先はバッカンに乗せて収納されている。 2人乗船だと絶対不可能な収納方法だが、船内が広く使える1人乗船の場合は、十分アリな収納方法。 咄嗟のロッド選択にも素早く対応できそうだ。 因みに写真の脚立はガロさん自身2代目の脚立だという。 初代の物は使用中、自然に脚が閉じてしまい、こけそうになってしまったのだとか。 もしこれから脚立を買われる方は、ストッパーも要チェックポイントだろう。 


最後にひとつ、非常に実用的なアイディアを頂けたので、こちらもご紹介。 写真のエレキシャフト部に三角の銀プレートが見えると思うが、これはガロさん自作の、フットコン専用ラダー。 これがあると、ボートの直進性・安定性が増すばかりか、風に流されて釣りをする場合、左右にエレキを向けるだけで、ペラを回さなくても行きたい方向に行けるらしい。 ボート改造にあたり、軽さ・安さのみを追求されたと仰るガロさんだが、このあたりの機能的な部分への拘りはかなりのもの。 押さえるべきツボはしっかりと押さえておられるのが素晴らしい。





8月19NEW!


ガロさんより、新たに2人乗りVer.の画像を頂けたので、これをご紹介。 上の写真がそれだが、2乗り仕様として、今回新たにリアシートの追加と、ロッドスタンドの追加をされたもよう。 これまで、「安さ・軽さの追求」をお題目に、究極改造を施されてきたガロさんだったが、2人乗り仕様になっても、その一貫姿勢に変わりは無い。



こちらがその追加されたリアシート部分。 作り方は過去の達人の技を参考にされたそうだが、カット&塗装した合板の裏に銀マットか何かのクッション素材を貼り、それをボート後部に固定された様子。 ガロさんらしく、これもいたってシンプルな仕組みだ。



ゴムボートで後部座席に座る場合、普通、ボート付属の板、脚立、丸椅子に座る等が一般的だが、この場合、後部座席利用者などは、足元が狭くてどうしようもない・・という事がよくある。 ところが、このガロさんの方式だと、ゴムチューブの直径分、後ろに船内が広く取れることになるので、その点でのメリットも大きい。 2人乗船で釣りをする時、これは見逃せないポイントとなるので、これから改造を目指す方などは、是非参考にしていただきたい。


次にこれは、座席となる脚立に自作ロッドホルダーが取り付けられた図。 仕組みは見ての如く、ロッド購入時のプラケースをテープで束ねた格好となっている。 何の飾りけも無いシンプルさだが、軽量かつ安価で、利便性も良さそうだ。 因みにロッド搭載可能数は驚きの8本で、ボート両舷側にホルダーを設置した場合の搭載数6本(平均)に比べ、この点でも何の不足も無い。



私はこのロッド搭載法を、roroさんにならい、「竹やり式」と呼んでいるが、この方式、もしかしたら意外なほど実用的なのかもしれない。 私は普段、市販の舷側用ロッドホルダーを使用しているのだが、これが頻繁なロッドの取り外しにおいては、けっこう不便を感じてしまうのだ・・。 



それから最後に、このホルダーの固定方法についてだが、これがまたガロさんらしくて素晴らしい。 上の写真でも分かるように、ホルダーの両サイド部分は筒部分を取り外し、キャップのみとなっているのだが、このキャップ部分に脚立の脚が入り、がっちり固定する仕組みになっている。




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